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日程:2014年9月19日~23日
行き先:岩手県上閉伊郡大槌町 (役場、大槌稲荷神社、仮設団地数ヶ所、臼澤鹿子踊保存会など)
調査事項:仮設住宅と被災者の生活状況、地域再生、行政・住民の考え方の差、仮設団地集会所でお茶出し活動などをして率直なお気持ちと状況を聞き出した。

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東日本大震災は、遠い昔、遠い世界のようだと思っている人はいないだろうか。
いつか復興するなんて安易に考えてはいないだろうか。
私は、丸一日、東北のことを忘れた日、とても寂しい気持ちになる。
三陸沿岸は地域の問題が凝縮しているから、問題解決の先駆者として勉強をしたいと思った。

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 津波被害から3年半年経った大槌町であるが、復興はすすんでおらず。大地震により市街地全体が1mほど陥没した土地を埋め立てるとのことだが、広範囲の埋め立てを行政は5年でやるというが、住民は10年かかる予測を立てている。

リスク面で言うと、埋め立て予定の市街地には井戸水の噴き出し口が数百箇所あり(元々800世帯の安渡地区は200箇所以上)、仮に埋め立てが完了しても地盤の液状化は免れないとの予測が住民間で噴出している。行政はこのリスクの開示を行わない状態で将来の居住希望場所のアンケート調査を近々実施するとのこと。

病院建設を控える島田市のアンケートはどうか。現地に建て替えることで国の補助制度である合併特例債の利用可否が不透明であり、このことから予算編成が今後大きく変わる可能性があることや、周辺道路の地盤の影響で災害拠点病院としての機能が危ういこと。行政がリスクだと思っていなければ厳しい現実、リスクを理解していれば体質の問題ということになる。大槌町のアンケート内容は仮設住宅の退去から災害公営住宅に入居を希望するか、埋め立てされた元の市街地に家を建てるかの意向調査である。仮に家が傾いた場合の保障については想定をしていない。
 
新車のダンプトラックと重機はたくさん有るが、それを動かす人員が目視でも少ない。大槌町の復興状況は家の基礎を壊している段階なのだが、重機が稼働していないことが多々見受けられた。求人倍率は1.3倍と依然高い推移を維持しているが人員不足が露呈している。福島原発の収束、三陸沿岸の復興が大きな課題として残されている日本であるが、東京五輪一直線の日本は、どこへ向かうというのだろう。
 問題をひとつ1つ解決していかなれば合併症のようになるのではないかと危惧している。


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 「何年もマツリしないと、地域の子が地域の子でなくなってしまう」
そんな宮司さんの想いからも、去年は中止を余儀なくされ2年ぶりの開催、震災後初の準備段階からの祭りとなった。
 大槌稲荷神社例大祭、小鎚神社例大祭である。町民以外の参加も多く、彼ら助人の甲斐もあり重さ1トンの神輿も力強く躍動。伝統文化に重きをおく東北人の魂をみた。津波で壊滅した、元の地域の住民が同じ神輿を担ぐことに大きな意味を感じる。
…一抹の不安がよぎる。彼らは地域に戻ってこれるのか。
災害時、家の近くの避難場所に避難して、コミュニティを保ってきたが、仮設住宅の入居では抽選という方法をとり、それは地域住民をバラバラするきっかけとなった。行政は当時、とても気を使って地域住民をなるべくひとつの仮設団地にまとめたと言う。災害後は騒然としていた町全体をみてきて、仕方のないことだったとはいえ、これは評価できない。今、住民はバラバラの地域に住んでいる。この事例を島田市に当てはめてみると、住民の焦りや求める気持ちを利用して進められる政策があるとするならば、それは落ち着いて、時には立ち止まって判断する必要がある。
行政運営において、即行動は大切なことであるが、あせりは誰のためにもならない。

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 また、2年契約の仮設住宅は5年に延長され、その弊害もでてきている。住民は口にこそ出さないが数件で家の傾きが気になった。寒さ、結露、沿岸住民が山林に住むこと自体、大変なことだといえる。また広島災害の報道から山の真下にあることが多い仮設住宅の住民は新たな不安を抱えるようになった。2011年秋には柾内仮設団地などが大雨により浸水被害がでている。また大槌町桜木にある仮設住宅第一号棟の近くの山林が土砂崩れを起こして避難を余儀なくされている。
 東日本大震災の前年にはマツタケが大量に採れたという。そして今年もマツタケが豊作で、だから来年また大きな津波が来るのではと住民のあいだで噂になっていた。根拠のない話であるが、3年過ぎても津波の記憶は色褪せることはない。
防潮堤に240億円の予算を投じ、埋め立て工事に140億円を掛ける予定である大槌町だが、住民間では人の住む場所を優先すべきとの意見があがっていた。


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また景観への影響として14.5mの防潮堤を建てることと、景観を考えるとそれほど高い防潮堤は不要との町民意見があるなかで、碇川町長も判断しづらい状況なのだと思う。つまり復興の青写真はまだまだこれからである。

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 自然界とともに暮らしてきた三陸の住民。自然界への畏敬の念と怖さとが入り混じり、だからこそマツリにも力が入るのだと思う。稲荷神社でご祈祷を頂き、その後おこった自然界からのハプニングは、神様の存在を認めざるを得ない。
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奪えば奪われ、与えれば返ってくる自然の摂理。島田市という一部自然界と切り離された街に住み、感じることは「自然界のみなさん、人間本位でごめんなさい」である。山をいじめ、利用し、最後は我々人間に返ってくる、この法則を忘れた私たちはいずれ返る自然の摂理になにを思うか。東北から学べることは防災面、人間関係、地域崩壊からの再生、高齢者問題、まちづくり、地方自治のあり方など多岐にわたるが、自然界への想いに関しては最大限の配慮をすべき、そんな時代に直面していることを思い知らしめてくれた。自分たちが苦しまないために、今なにをすべきか。私は、まずは祈りからではないかと思うのだ。その想いは、私たち生活に必ず影響をしてくるのだから。



青山まさとら