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面会したあと、深夜の大崩海岸を一人バイクでぶっとばしていた。
グローブをはめていても、冷気で指先がビリビリする。

いろんな人に会った今日を回想しながらアクセルをあけて、
巨体を無理やり倒して外から内へ突っ込んでいく。

大崩のワインディングはスピードをだせば日本有数の難所、ゆっくり走れば夜景の峠。
いくつかコーナーを抜けていくと、トンネル内で、原付バイクを押して歩いているヒトに出くわした。
まさか深夜12時。しかも大崩海岸。すれ違うクルマは一台もない。

心霊スポットとして有名な大崩海岸、
逸話はいくらでもある。
私は峠道のトンネルの中、エンジンを切り、大声で、強気に話しかけた。もし、オバケだったときの言葉は決めていた。現世の人間に心配かけるな、成仏しなさい。

荒々しい波音がトンネル内にもひびいていた。オレンジ色の街灯に、歯のないおじさんの顔が浮かびあがった。
街灯のおかげで黄土色のおじさんは、ガス欠のため原付バイクを押して焼津まで帰ると言う。
日雇い労働のおじさんは所持金もないと困っていた。

それにしても深夜の大崩でバイクを押しているのは普通ではない。
尾崎豊でないことを確認したあと、
財布から 300円を取り出して渡すと、おじさんは助かったと笑顔をみせた。
オレにはこれしかできないと言い残しその場を走り去った・・・。

事務所の書類シゴトが溜まっていた。子の名前も決めなくちゃいけない。
ほかにやることはいくらでもある。やることを頭で整理しながら峠をくだっていく。





・・・信号で停まるころ、仕事のことは忘れていた。
さんざん日本や世界でみしらぬ人に世話になっておきながら、イザ自分に助けるチャンスが巡ってきたら言い訳ばかり。そんな自分に呆れていた。

いつになったら恩返しできる。そうでなくても最近地元の友達に世話になりっぱなし。
寝るだけ寝て忙しいと言い訳だらけの自分は一体ダレなんだと思った。
被災地支援は物じゃないって言ってたろ。利害の価値観を脱出するための講演は嘘なのか。

・・・私は想像した
大崩の海上大橋から焼津までの道のりを。歩いたことはないけれど。


24時間営業のガソリンスタンドに到着した。
キャンプ用のバーナーの予備タンクにガソリンを買った。
グローブを脱いだ手をエンジンにあてた。3秒後に指先が熱くなった。もうこんな季節か。

私が走り去ってから20分も経つのに、おじさんはまだトンネルにいた。
足がカクっとなって歩けなくなったと不安そうな顔をした。
私は無言のまま、原付の鍵を勝手に抜き取り給油口をあけてガソリンを入れた。

おじさんは兄弟助かった!と言った。私は兄弟じゃねえと言いつつ世話になった人たちの顔がフラッシュバックした。



自分可愛けりゃ人の役に立たせてもらう。
魂は喜んだ。

121204_0010~01

みなさんのおかげでおじさんは助かりました。


青山まさとら







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